2008年06月15日
アイルランド国民投票でのEUリスボン条約否決と統合停滞の懸念
アイルランドのEUリスボン条約国民投票否決。まずおそらくは完全な仕切り直しにはならず対症療法的に対応されると思うので、校正中の論文などの骨格は再構築したりする必要はないのだろうが、予期していたこととはいえ驚いた。同業Eさんが日経新聞にコメントしていた通り、中長期的にはEUは停滞か▼以前も70-80年代初期にEUには「停滞の15年」があった。世界経済の停滞を背景に、しかし英国の加盟を経て西欧分断を克服した欧州統合の「産みの苦しみ」の期間だったのだろう。そう考えると今回も東西分断を克服したEUの「産みの苦しみ」になるのだろうか。さらに「停滞の15年」の引き金のひとつが石油危機であったことと、現在「第三次石油危機」とも言われる状況であることが符合するのも興味深い。ただし、以前の石油危機が統合停滞をもたらした重要な影響の経路は通貨統合の停滞であったわけだが今日のEUは既にユーロを達成していることには注意する必要がある▼70-80年代になぞらえて考えるならば、当時の欧州統合は統合本流の外で政治統合への胎動を見せた。EEC/ECからEUへの進化を遂げた欧州統合の次のステップは基本権憲章に見られる「規範」の分野。デモス/エトスを統合傍流で醸成していくことになるのだろうか▼燃料費高騰のため自宅でH計画作業。
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