2010年01月13日

History Strikes Back!

書籍読了細谷『倫理的な戦争』AA。ブレアに焦点を当て、主にコソボとイラクへの関与を扱った、日本版ウッドワード。歴史家が現代を描けることを示す佳作。それを大前提に恐らく著者が語り残している部分は、"Liberalism on Boots"としてのブッシュ政権との異同(恐らく国際協調主義)、クーパーの欧州的貢献とESS、援助政策ではない部分のアフリカ関与。アフリカを除けば、前の二つはブレアに焦点を絞ったことから当然に生じるないものねだり。アフリカは実は欧州とつながるので、これはちょいだが、同様にコソボとイラクに焦点を絞ったことの帰結なので、やはりないものねだり。要するにAA。お疲れ様でした。本当はベストセラーになって然るべきだが、やや時期を逸したか。ブレアが「EU大統領」になっていればと悔やまれるが、その場合にはそれはそれで環境問題への関与を掘り下げることが求められただろう▼ざっくり3日で読んだ。後輩とまちゃんへの愛に涙▼勢いに乗って、勢いで買ってしまった書籍読了大前『衝撃!EUパワー』C。凄い。勢いだけで書いた本だという意味で凄い。まとめると、勢いだけで書かれた本を、勢いで買ってしまい、勢いで読んだ。主な購買層はビジネス方面なのだろうが、Wikipedia程度の有益性と有害性を持つ。もっとも、活字にしてしまっているだけWikipediaより有害。キャッチーな文言を並べ、とっかかりは完全に間違っているわけではないという点で入り口的な有益性を認めないでもないが、一歩踏み込むと誤謬のオンパレード。一般読者が、この本から手を付けるのはあながち間違いでは無いのかもしれないが、これだけで済ませた場合には恐ろしいことになる。「欧州憲法」があるという論述だし、EUは国家であるらしい(正確には急所は外している気もする)。アオリになっている「超国家」という文言は、確かにEU(研究)用語であるのだが、これは「国家を超えた」という意味であり、"Supra-national"であって"Ultra-national"ではない。しかし、本書ではどうも後者に近い意味で用いられているようだ(タイトルの英訳があれば明らかになるのだが、公式サイトでは慎重に直訳を回避しているようだ)。これ以上のコメントは差し控えるが、小一時間で読了。出版した朝日新聞出版の見識は疑う▼さらに勢いで書籍読了ヴェドリーヌ『国家の復権』AA。「左派のゴーリスト」の面目躍如。細谷本と合わせ、イギリスのブレアが国際コミュニティについて論じ、フランスのヴェドリーヌが国家中心主義を論じる逆説が楽しい。勿論、イギリスには立派な国際共同体についての思想的伝統もあり、フランスは国家主義の元祖。だが、ステレオタイプ的にはアングロサクソンは国家中心主義でフランスは普遍主義でもある。特に、(ブレアの倫理外交などを)リアル・ポリティークならぬイレアル・ポリティーク(非現実政治)と言い放ったのには笑った。3時間で読み終えたが、こちらには付箋がたっぷり▼しかし、原題が"Continuer l'Histoile"(『歴史は続く』)フクヤマ『歴史の終わり』を意識した、洒落のきいたいかにもフランス的なのに対し、日本語訳のタイトルはいいとして、英語版が"History Strikes Back"とスターウォーズ的な、いかにもアメリカンな感じになっているのには笑った。まあ、『歴史の逆襲』だからいいんだろうけど▼昨日に引き続き明日報告予定の学生さんに助言。


posted by 58843 at 00:00| 埼玉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | きょうの職場 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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